温泉の泉質について
温泉泉質は温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量によって決められ、単純温泉、塩化物温泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉・二酸化炭素泉・含鉄泉・酸性泉・含よう素泉・硫黄泉・放射能泉の10種類に分類することができます。
単純温泉
基準
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満で、湧出時の泉温が25℃以上の温泉
pH7.5以上8.5未満を「弱アルカリ性単純温泉」
pHが8.5以上のものを「アルカリ性単純温泉」と呼んでいる。
特徴
肌触りが柔らかく、クセがなく肌への刺激が少ないのが特徴で、「脳卒中の湯」、「痛風の湯」、「神経痛の湯」と呼ばれている。アルカリ性単純温泉は、入浴すると肌の古い角質を取ることで、入浴後肌がつるつるすべすべになることから「美肌の湯」とも言われる
※単純温泉の単純とは・・・
温泉成分が1kgあたり1000mg未満という意味でその温泉の本当の泉質はは成分分析表を見ないとわからない。含有成分が泉質名に反映されるほど含まれていなくてもそれぞれの成分がある程度含まれていれば温泉の特徴がわかる。
泉質別適応症
浴用:自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
塩化物泉
基準
温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオン(Cl–)の温泉
特徴
陽イオンの主成分により、ナトリウムー塩化物泉、カルシウムー塩化物泉、マグネシウムー塩化物泉などに分類される。塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛く、塩分濃度が高い場合やマグネシウムが多い場合は苦く感じられます。含有する塩分がパックのように身体を包んでくれるためこのパックが汗腺を塞ぐので、湯上がり後の体温低下を緩やかにするためぽかぽか感が長続きするため「熱の湯」と呼ばれる。
泉質適応症
浴用:切り傷、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、
飲用:萎縮性胃炎、便秘
炭酸水素塩泉
基準
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオン(HCO3–)の温泉
特徴
陽イオンの主成分により、ナトリウムー炭酸水素塩泉、カルシウムー炭酸水素塩泉、マグネシウムー炭酸水素塩泉などに分類される。カルシウムー炭酸水素塩泉からは、石灰質の温泉沈殿物が生成されることがあります。
炭酸水素イオンは皮膚の洗浄効果を高め傷口の消毒や殺菌を促すので、きりきずの治癒に役立つ
古い角質を取り除き潤いを保つ働きが促進され、皮膚乾燥症の改善に役立つ
また、含有する二酸化炭素(CO2)が皮膚を通して体内に吸収され、末梢血管を拡張し、血流を改善するので、末梢循環障害の改善に効果見られる。血流が改善されるため冷え性の症状の緩和される
泉質適応症
浴用:切り傷、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
飲用:胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、糖尿病、痛風
硫酸塩泉
基準
温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオン(SO42-)の温泉
特徴
硫酸イオンは、殺菌効果や抗炎症作用があるので、きりきずや関節炎、筋肉痛などの痛みや炎症を和らげるので、「硫酸塩泉」も「塩化物泉」と同様「傷の湯」と呼ばれる。また、血管を拡張させ、血液に多くの酸素を送り込む作用があることで「脳卒中の湯」とも。血管が拡張されることにより、血流が滞りやすい末梢部分(手足など)の血行が促進され、冷え性や末梢循環障害の改善に役立ち、さらに血行促進や鎮静作用により、自律神経の調整が行われ、ストレス軽減や精神的な安定に影響を与え、うつ状態の改善に成果をもたらす。さらには、皮膚の角質層を柔らかくする作用があり、乾燥した皮膚に水分を補給させるので、皮膚乾燥症も改善される。つまり、コラーゲンの生成を促し、肌の蘇生を導き、新陳代謝を活性化し、肌に張りと潤いを与えるアンチ・エイジング作用が期待できるので「若返りの湯」「美肌の湯」とも呼ばれる。
また、飲用すると、硫酸イオンの働きで、肝臓の機能をサポートし胆汁の分泌を促進する作用により、胆石予防や胆道系機能障害に成果をもたらす。また、胆汁の流れを良くし、コレステロールの代謝を促進するため、高コレステロール血症の改善に有用である。また、便を柔らかくする効果があり、腸の蠕動(ぜんどう)運動も刺激するので便秘の改善にも有用である。
陽イオンの主成分により、ナトリウムー硫酸塩泉、カルシウムー硫酸塩泉、マグネシウムー硫酸塩泉などに分類される。
- ナトリウム-硫酸塩泉 →「傷の湯」「若返りの湯」
ナトリウムイオンは保温と殺菌作用があり、体を温めることで末梢循環を改善し、冷え性やうつ状態を和らげる効果がある。コラーゲン生成を促し、アンチ・エイジング効果のある硫酸イオンとの組み合わせにより、肌の代謝を促進し、皮膚乾燥症を防ぐ効果や、きりきずの回復も早める効果がある。 飲用では、ナトリウムイオンが消化器の機能を助け、硫酸イオンが腸の動きを活発にすることで便秘を改善する。また、硫酸塩が胆汁の分泌を促すので、胆道系機能障害や高コレステロール血症の改善にも成果をもたらす。 - カルシウム-硫酸塩泉 →「美肌の湯」「脳卒中の湯
カルシウムイオンは血管の収縮と拡張を調整する作用があり、血圧の安定化に成果をもたらす。血管を安定させることで末梢循環障害や冷え性の改善が期待できる。さらに、肌の角質形成を助けるため、皮膚乾燥症の改善にも効果的。皮膚再生促進作用があるカルシウムイオンと、肌の弾力を高めシワやたるみを防ぐ効果がある硫酸イオンの組み合わせは、美肌効果を引き出す。 飲用では、カルシウムイオンが腸の働きを安定させ、硫酸イオンが胆汁分泌を促進することで、胆道系機能障害の改善に有用である。カルシウムはさらに血液中の脂質バランスを整え、高コレステロール血症の予防にも成果をもたらす。 - マグネシウム-硫酸塩泉 →「脳卒中の湯」「若返りの湯」
マグネシウムイオンは血管を拡張して血流を促進するため、末梢循環障害や冷え性の改善に成果をもたらす。また、ストレスを緩和する鎮静作用があり、うつ状態を和らげる効果もある。さらに、マグネシウムイオンは、皮膚のバリア機能を強化する作用があり、皮膚の保湿能力を高める。同時に硫酸イオンは、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)を促進させるので、古い角質がスムーズに除去され、新しい皮膚が健康に再生されることで皮膚乾燥症が改善される。飲用すると、マグネシウムイオンは腸の動きを促し便秘解消に効果的。また、硫酸イオンが胆汁の流れを促進し胆道系機能障害や高コレステロール血症の改善も期待できる。
泉質適応症
浴用:切り傷、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
飲用:胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
二酸化炭素泉
基準
温泉水1kg中に遊離炭酸(二酸化炭素)(CO2)が1,000mg以上含まれている温泉
特徴
泉温は低い場合が多く、入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感があるのが特徴。「泡の湯」と呼ばれます。ただし加温をすると炭酸ガスが揮散する場合がある。35℃前後の泉温の「二酸化炭素泉」に入浴すると、最初はひんやりと感じるが、皮膚に泡が付き始めると、じわじわとカラダが温まってくる。二酸化炭素(炭酸ガス)が皮膚に吸収され、血管を拡張することにより血行が良くなる。血行が良くなることで心臓に負担をかけずに血行を促すので「心臓の湯」と呼ばれる。
その血行促進作用は、きりきずの治癒が早まる効果をもたらす。二酸化炭素が皮膚を通じて吸収され、傷の周囲の血流を改善し、皮膚の細胞再生が促されるためである。
また、血管が拡張するため、入浴中に血圧が低下し、さらに血行改善に伴い、筋肉や関節の痛みを和らげる効果もある。同時に、リラクゼーション効果が高まることで自律神経が安定しやすくなり、温浴効果と血行促進により、心身の緊張がほぐれ、ストレスが軽減され、自律神経不安定症に効果をもたらす。
さらには、二酸化炭素が皮膚から吸収され血管が拡張する事は、末梢血管の血流の改善にも成果をもたらし、冷え性や末梢循環障害の症状が緩和される。
飲用では、炭酸の爽やかな咽越しを楽しめる。そして胃腸の動きが刺激され、消化機能が促進され、胃腸機能低下に役立つ。二酸化炭素が胃腸を軽く刺激し、消化酵素の分泌を助けるため、胃腸機能が改善されるため。
「二酸化炭素泉」は古い火山帯が多いヨーロッパでは数多く見られ、特に「飲泉」が非常にポピュラーとなっている。日本はどちらかと言えば、活火山帯、新しい火山帯が多いため、この泉質は数少ないく日本では比較的少ない泉質です。
泉質適応症
浴用:切り傷、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
飲用:胃腸機能低下
含鉄泉
基準
温泉水1kg中に総鉄イオン(鉄Ⅱ(Fe2+(フェロイオン))または鉄Ⅲ(Fe3+(フェリイオン)))が20mg以上含まれている温泉。
陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類される。
特徴
「含鉄泉」は「婦人の湯」と呼ばれることがある。これは古くから、貧血、更年期障害、月経障害、冷え性など女性に見られがちな症状に効果的と言われていたが、2014年の改訂では、浴用の泉質別適応症には「なし」となっている。これは、鉄分が皮膚を通して体内に吸収されることがほとんどないためということらしい。
また、入浴するとよく温まるので、リウマチ性疾患、更年期障害、子宮発育不全、慢性湿疹、苔癬(たいせん)等に効果があるとされている。
飲用すると体内の鉄不足が原因である鉄欠乏性貧血に効果的である。ただし、注意点として、飲用した直後にお茶やコーヒーなどタンニンを含む飲み物の摂取は鉄分とタンニンが結びついてしまい、鉄の吸収を妨いでしまうから控えたほうが良い。
温泉が湧出時点では無色透明だが、空気に触れると、鉄の酸化が進み赤褐色になる特徴があります。
泉質適応症
飲用 鉄欠乏性貧血症
酸性泉
基準
温泉水1kg中に水素イオン(H+)が 1mg以上含まれている温泉。
特徴
多くの場合は、遊離硫化水素(H2S)が含まれ、強い酸性を示す。
殺菌力が非常に高く、肌表面のトラブルの原因を広く取り除くので、「皮膚病の湯」と言われている。
「酸性泉」は、強い殺菌作用があり、皮膚の細菌やウイルスを抑制する効果がある。そのため、皮膚の感染症や炎症を伴うアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、表皮化膿症の治療に効果的。特に、アトピー性皮膚炎の黄色ブドウ球菌の殺菌にいいとされるている。
「酸性泉」の入浴による血行促進や代謝の活性化が、糖代謝を改善し、インスリンの働きを助けることがあるため、耐糖能異常(糖尿病)に対しても効果がある。
注意すべき点は、「酸性泉」は刺激が強いので、肌の弱い人には適さず、「湯あたり」しやすい泉質でもあるので、長時間の入浴は避けるべきで、入浴後にシャワーで温泉を洗い流した方が無難。
泉質適応症
浴用 アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、糖尿病、表皮化膿症
含よう素泉
基準
温泉水1kg中によう化物イオン(I–)が10mg以上含有する温泉。
特徴
非火山性の温泉に多く、時間がたつと黄色く変色する
泉質適応症
飲用:高コレステロール血症
硫黄泉
基準
温泉水1kg中に総硫黄(S)が2mg以上含まれている温泉
※総硫黄(S)2mg/kgとは
①硫化水素イオン(HS–)、②チオ硫酸イオン(S2O32-)、③遊離硫化水素(H2S)の合計
厳密には、硫化水素イオン×0.97 + チオ硫酸イオン × 0.572 + 遊離硫化水素 × 0.941を計算して2mg/kg以上
特徴
硫黄泉は以下の2つに分類される
- 硫黄型・・・・・硫化水素イオンとチオ硫酸イオンが主体
- 硫化水素型・・・遊離硫化水素が主体
分類はmol単位で計算し、①+②>③の場合は「硫黄型」、①+②<③の場合は「硫化水素型」
pH値は硫化水素型が中性〜アルカリ性の傾向が強く、硫化水素型は酸性に傾向が強い
温泉の色は硫黄型が無色透明もしくはエメラルドグリーンに見えることが多く、硫化水素型は白濁していることが多い
硫黄泉は強い抗菌・抗炎症作用があり、「皮膚病の湯」と言われている
硫化水素型は硫化水素が皮膚から吸収され、末梢血管を拡張することで血流を改善するため、末梢循環障害に効果がある。
酸性泉と同様湯あたりしやすい。
泉質適応症
浴用:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害が加わる)
飲用:耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
放射能泉
基準
温泉水1kg中にラドンが30×10-10キュリー以上・8.25マッへ単位以上・111Bq(ベクレル)含まれている温泉
特徴
通常ラジウム泉はラドンの含有量が
8.25マッヘ以上、50マッヘ未満の場合は「弱放射能泉」、
50マッヘ以上は「放射能泉」と呼ぶ
温泉に入浴する、飲泉する以外に温泉から出る気体「ラドン」を吸うことで温泉の効能の恩恵を受けられる
